Re: 第十五回企画作品、D・W・W著「薄明かり満ちた地底で」感想 ( No.1 ) |
- 日時: 2007/10/09 18:58
- 名前: toku
- URL: http://www5d.biglobe.ne.jp/~K-toku/ HOME→
- Dさんの作品、前回の企画参加作品でも思ったのですが、ファンタジーそれもSF色の強い設定をフルに活かしている作品だと思いました。
空想世界を舞台とした場合、いかに無理なく独特のルールを根付かせるか? その部分において成功していると思います。 人間だけでなく、ミーミルという「超越者」からの視点というのはある意味作者視点を代弁しているのかもしれませんが、通り一遍の倫理観からは離れたところからの視点。 ルールとはまた別にこの視点を持つことこそが、SFを含めたファンタジー作品の強みであるし、私がフルに活かしているなと思ったのもこの点です。 原始的な社会でのシャーマニズムと超未来の人工知性という取り合わせも新鮮。 原則機械であるはずのミーミルやガーディアン達が、人間社会を維持運営していく上で、人間たちが考える「科学合理性」とはかけ離れた手法をとっているのは興味深いですね。しかも、結果として実に「合理的」。 Dさんのこうした発想法にはSF者の一人として、単純に「負けた」と思わされます。 キャラクターに関しては、ミーミル=リテネラ、そしてエイプリルこの二人のキャラクターを魅力的に出来たことで、勝ったも同然。もちろん、それ以外のキャラクターも興味深かったですよ。 超越者として人間に対しての慈愛と憎悪(これはリテネラの意識も影響しているのでしょうが)を併せ持つミーミル、そして不幸な人生の果てにミーミルを通じてとはいえ、エイプリルという純粋な心を知り惹かれるリテネラ。 この二つのパーソナリティを両立させているからこそ、この物語のヒロイン、ミーミル=リテネラは魅力的なのでしょう。
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Re: 第十五回企画作品、D・W・Wはん著「薄明かり満ちた地底で」感想 ( No.2 ) |
- 日時: 2007/11/05 20:47
- 名前: ゆめなまこ
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- えーだいぶ前に読ませてもろうたんでっけど、
頭の中で感想を整理するのに手間どり今頃になってしまいました。
どーもすんまへん
さて本題。 今回も中々の力作 いいや、今回は相当すごい作品に仕上がってまんナァ〜 多彩なキャラクター群 壮大な世界観 精密な描写 このへんの毎度のDはんの魅力は如何なく発揮されてまっけど 本作で秀逸ナンが構成力の素晴らしさ 序盤のリテネラが投げ捨てられるシーンから始まり 幻想的な樹上生活者や水上生活者の暮らしぶりの描写に至り 世界の異変を探索する冒険行へ続き 超未来兵器と原始的な肉体力との壮絶なバトルという修羅場へ突入 少女と少年の切ない別れそして未来への展望と言う大団円に流れ込む もはや物語の王道を行ってますナァ 雅楽や能の世界では理想的な物語の展開を「序・破・急」いう 三段構成で表現しまっけど、本作はまさにその通りに行ってます。 ストーリー構成は長編の物語の命でっど Dはんは以前の作品からその辺をよう心得ておられてるように見受けしたが 今回はそれが見事に昇華したなぁ〜いう感があります。
次に物語のもう一つの命、テーマについて 本作の世界観は第10回企画作「心の木」と同じ世界観に 元づいていますんかなぁ〜? 人類が移民した他所の星でぶっ立てた惑星改造用の世界樹 その周辺で生きるちょっと後退した我らの子孫、それを管理する人工知性 前回の主人公は洋樹は登って行き 今回のエイブリルは降りてゆくいう違いがありまっけど・・・。 それに洋樹は自分を超え、世界を超えようとしよりましたが エイブリルは少女を守り、世界を守ろうとした。 一つの世界で二つの違うテーマの物語を描くとは なかなかカッコええことしまりますわ あと、 完璧で無謬な超存在に支配され生きる人々、 ちゅうDはんの作品に共通のテーマもちゃんと見て取れる。 この辺が物語をホネのあるもんに仕上げてる要因ですやろなぁ〜
まぁ、取り留めのないことばっかり書きましたけど いやはや、素晴らしい作品でした。 次回にも大いに期待しまっせぇ〜
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Re: 第十五回企画作品、D・W・W著「薄明かり満ちた地底で」感想 ( No.3 ) |
- 日時: 2007/11/22 00:13
- 名前: みゅう
- URL: http://homepage1.nifty.com/mew_rie/index.html HOME→
- 読ませていただきました♪
以前、大きな樹を登っていくお話しがありましたが、今回は降りていくお話しでしたね。
Dさんの創り上げる世界はほんと独特で、しかも完成度が高い。 今回はまた世界設定の説明が絶妙でしたね。ストーリーの展開にあわせて読者に必要な情報がそのつど小出しにされて。Dさんってば、腕、あげたなぁ。。。。
というような、技術的な点もさることながら、世界そのものに引き込まれて読みました。 読み進めながら、生態系、なんてものについて考えたり。 ちょうど、自分が企画作品を書くにあたって、ドキュメンタリーものでクジラの生態系に関するもの何本もみたせいでしょうか。
人間が人間である限り、どうぶつや植物や、または地球の環境について考えたとしても、それは結局のところ人間の思考によって「擬人化」されたもので、人間は人間の規範から外れることなどきっとできないのでしょう。 だからこそ、人間は愚かだし、そんな人間を哀しくもいとおしいと思う。 そんなふうに考えるのは、偽善的でしょうか。
そんなことを考えてしまいました。 うん、作品を純粋に楽しみながらも、いろいろと考えさせられるすばらしい一品でしたよ。 読み甲斐があった! と、言わせていただきたい。
Dさんの力量はわかっていたけど。 いや、ほんと。 腕、あげましたねぇ。。。。 どこまでいっちゃうんですか?? 次を読むのが楽しみでもあり、こわくもあります(笑)
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Re: 第十五回企画作品、D・W・W著「薄明かり満ちた地底で」感想 ( No.4 ) |
- 日時: 2008/01/24 14:17
- 名前: オカザキレオ
- URL: http://www.geocities.jp/reo_ojp/ HOME→
- 読ませていただきした。
いやぁ、久々に時間を取って、Dさんの小説を読む事が出来て本当に良かったです。 作り上げられた世界観はさすが、の一言です。 皆さんお書きになっていますが、 本当に設定の緻密さには感服。 世界樹の設定そのものもさることながら、テーマとしてあった「憑依」を見事に書ききっていたと思います。
年々、Dsさんの文章が易しく、柔らかくなっているだけに 気になったというか、個人的な好みを。
超人的な女の子はDさんの小説ではよくでてきますが、 その対極をなす、普通の女の子の心うちがもっと読みたかったです。
特に気になるのは、連れ添う過程ですよね。 僕としては、その間の乗り越えた感情、というものを是非見たかったと思います。
何はともあれ、懇親の大作、お疲れ様でした。
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