Re: 第15回企画作品:ゆめなまこ殿著「怨魂」への感想 ( No.1 ) |
- 日時: 2007/11/04 17:36
- 名前: D・W・W
- URL: http://www5b.biglobe.ne.jp/~dww/ HOME→
- D・W・Wでござる。遅れましたが、「怨魂」の感想などを書かせていただきますぞ。いやはや、今回も面白かったでござる。
娘に入り込んだ何かによって徐々に崩壊していく過程、織りつづられる狂気の世界、隠されていたはずの闇の過去、そして非常に後味の悪いラスト。 上手くホラーという作品のツボを押さえている内容だと思いました。なおかつ、地に足のついたレベルの幸せが徐々に壊れていく過程、病気によって人が徐々に狂っていく悲劇、どれも非常に良く書けているかと思います。しかも文体を作品に会わせてきっちり切り替えている辺りがすばらしい。読み終わって、ああ、良いホラーだとすばらしい読後感を味わうことが出来ました。特に肝となるラストのオチはすばらしい。狂気に浸食されていたのは、幽霊の彼女だけでは無かった辺りが、芸が細かいです。
敢えて欠点を上げるとすると、幽霊の彼女の行動がちょっとあからさまに直球過ぎるので、もう少し陰湿に変化球を混ぜながら日常を壊していってもいいかなと思いました。まあ、それも気になるレベルでは無いですし、作品の完成度には影響しないと思います。 全体的な感想はほぼ文句なしかと思います。非常に良くできた作品だなと、何度も感心しました。完成度の高さは申し分なく、良作というにふさわしいです。非常によい作品をありがとうございました。
|
Re: 第15回企画作品:ゆめなまこ著「怨魂」への感想 ( No.2 ) |
- 日時: 2007/12/11 21:16
- 名前: toku
- URL: http://negotoya.kir.jp/ HOME→
- ファーストインプレッション
これは帝都東京で直接ご本人にもお伝えしたことなのですが とにかく「意地の悪いお話」だなと。
では何が意地が悪いのか? ストーリーの展開、そしてラスト以後、想像しうる登場人物たちの運命というものへの扱いが…・・・です。
ホラーとは、「本来なら幸せになりうるであろう人々が実に理不尽極まりない運命に翻弄される」物語でもあるわけですから、この意地の悪さというものは実に重要な要素なのではとも思います。何だか、こんなことを言うと一部では悪口めいた評のように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、その意地の悪さとは作者の方がそれだけ、「怖さ」「運命」「悲劇」というものに対して考察を進めているという証でもあると思うのです。 ごく平凡な家庭が、音を立てて崩れていく様。その背後にある過去の悲劇(しかし決して過ちではない)、悲劇の幕が下りてもなお続く生き地獄。当事者たる春奈、孝太は言うに及ばず、怨念の主たる「耶沙=灯子」にも到底明るい未来があるとは思えない。いや、彼女の場合「生きている人間の理屈なんて通用するわけない」存在なのだから、別にいいのか……。あのセリフ、いわゆる理屈の通じないわけの分らない存在の怖さと理不尽さが強く出ていましたね。
ラスト以後、春奈もそうですが、孝太のその後の人生もめちゃくちゃですなぁ……手元に残った一人娘の中身は、かつて裏切った女、しかも相手は「間違い」を犯す気マンマンなわけだし。春奈にしても、帰る先はそうした危ない場所しかないわけで。これ、もし続編を作ったら、より生々しくて怖い話になりそうな気が。
最後に魂が上書きされるという容赦ない設定は、このお話の中から「ハッピーエンドの要素」を根こそぎ奪い取るのに大きな役割を果たしてますね。
|
Re: 第15回企画作品:ゆめなまこ著「怨魂」への感想 ( No.3 ) |
- 日時: 2007/12/19 00:52
- 名前: 転石ミドリ
- URL: http://sheep.blush.jp/top.htm HOME→
- オフのあとすぐ読んだのですが、感想つけるのがずるずる遅くなってしまいました、すみません。
で、登場人物、十分に女だと思います(笑) 日常から非日常へ、それを引き起こす狂気、どれをとっても秀逸だと思います。 特に灯子、いいなあ。この何とも言えないジメジメ感、粘着質の狂いかた。ホラーに最適ですね!(笑) 序盤の家族団らんが上手いおかげで、後半というか、メインの狂気がより際だちますね。 また、シーンの移行に違和感が無く、スムーズで読みやすいです。こういったことって基礎的だと思うのですが、基礎的であるぶん、逆に重要なんじゃないでしょうか。ここが狂うとどんな良いストーリーも狂ってくるのではないかなとおもいます。 ホラーってネタ明かしの仕方がかなり大事だと思うのですが、今回はシチュエーションもタイミングもばっちりでしたね。上手いなぁ。
しかしこの話、誰が特に悪いわけでもないのに、誰も幸せにならないんだなとおもうと、すこしやりきれないです。そのやりきれなさが作品の味なんですが。
ではでは、短くなってしまいましたが。
|