本作はファンタジー小説である。それは、間違い無い。 その世界と、登場する全てのものが空想の産物。 そう、ファンタジー小説なのである。 だが――――ふと、思ったのだ。
ユグドラジル、ニーズヘッグ、フレースベルグ、そしてこの世界。 これらは確かに空想のものだが、果たして幻想のものなのだろうか……と。
洋樹は確かにそこに居て、空想の世界で過ごしている。 けれど、やけにリアルに思えるのだ。 ――洋樹という人物の存在が。 洋樹の、家族に対する意識も、自分自身の心情も。
ひょっとしたら、これは洋樹の、洋樹による、洋樹のための物語なのではないだろうか。 洋樹の心の中で出来上がった、ユグドラジルという巨木。 そこに住むニーズヘッグやフレースベルグは洋樹の友達。 自分の目標を目指して話は進み、目標を達成しても、終わらない。 洋樹の中に「心の木」は在り、洋樹は更に高みを目指す。
「心の木」の先には、洋樹が目指している「夢」への入り口が――。
――な〜んてことを、読み終えたときに思いました(笑) ものすごく屈折した捉え方になってしまったかもしれませんが、そこは平にご容赦を。 兎に角、すんなりと、そしてとても楽しく読ませていただきました!
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