……! あなたはどーしていつもこーやって読んだあとこっちが落ち込むような作品を書いてくださるのでしょうねぇ。 毎回毎回、読んでる間は夢中で、読み終わってあー面白かったって満足して、で次の瞬間に悔しいと叫ぶんですよね。
ズルくていいかげんな郁夫。 良くできたお姉ちゃんに対する妹のコンプレックス。 アサハカで流されやすい千夏の、この微妙な感情の揺れ。 日常のちょっとした出来事で人が自分の気持ちに向き合って何かを知る。 それを知ったことで成長するかしないかは、人それぞれで。 だって、千夏はまだ郁夫の元にいるんだもの。 このあと開眼して、捨てられる前に捨ててやるって出て行くのか。 それともいつか別の猫が現れることに怯えながらずるずるとここに居続けるのか。 それを明確にしないでただ、千夏が気づいたところでお話は終っている。 「この出来事を通して主人公が成長していく物語」では決してない。 そんなに簡単に人間って成長しないもんねぇ。 「あぁ、そうなんだ」って思っても、また何かのきっかけで同じ事にぐるぐる悩むのが人間でしょ。 って。 こーゆーの、ぴーしゅけさん、得意だよねぇ。。
それからなんといっても、猫! 昔っから女性に例えられる猫の仕草がなんともまぁ、見事に表現されていることでしょうか。 おまけにビビちゃんってば、猫好きにはたまらん美猫さんですよね。 文字だけだってのに、はっきりそれがわかります。凛とした座り姿が目に浮かびます。
それに。 雨の日の白い猫と雨にぬれた白いドレス。 ゴミ容器に捨てられた鳥の死骸とビビのお気に入りだったクッション。 あぁ、もう無駄な小道具ないじゃないのよ。 崖にぶら下がってる夢とわかっている夢と現実の区別のつかなかった夢。 とにかく、いろんな事象や小道具が対になっててその対比がそれぞれを際立たせてますよ。 これって、やっぱり緻密な構成のなせるワザってやつだよね。 やっぱりスゴイよなぁ。
ふぇー。 やっぱり叫んでもいいですか? 「ぴーしゅけさんって、スゲェ!! でも悔しいっ!! 」
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