やられました、今回のえもさんの作品。 毎回、新境地を見せてくれるえもさんですが、今回もさらに渾身の一作です。 妹よ、なんてふざけている場合じゃない、僕。本気で打ちのめされました。
精神病棟という、特殊環境でもえもさんのフィルターをかけると、こうも綺麗で素敵な物語になる。 本当ならどろどろとしてしまいそうな素材なのに(実際、演劇の舞台では人間関係のドロドロを描きたい事から、よく精神病院を表現されます)今までのえもさんの作品となんら変わりなく登場人物が、微笑むのです。
しかし違う、今までと明らかに違うのです。 今までのえもさんワールドは、普通の人が普通に、優しくも愛しいお話を展開していくものでした。語弊があるかもしれませんが。 しかし今回の人々は言ってみれば、追いつめられた人々なんですよね。
でもえもさんに流れる優しさは変わらず。思わず、泣いてしまいたくなりました。 小道具もうまいです。 僕がビートルズを好きというはあるかもしれませんが、これがジョン・レノンでなく、ビートルズの音楽を聞くシーンがある、というのが興味深かったです。 例えばビートルズの曲のイメージは、知らない人も多いかもしれないけど、「Let It Be」ならすぐに思い浮かべる。 ちなみに「STAND BY ME」はジョン・レノンが歌っていますが、あれはベン・E・キングという黒人さんのカヴァーです。あ、それはどうでもいい。
僕が打ちのめされたのは、もう一つ理由があります。 吹くしに携わる人間として、彼らのような人々と出会ったとき、多分、僕は彼らを救えません。プロと言われている僕達ですら、技術や知識以前の問題で、クライアントのケアをする事ができていない。 本当の幸せって何でしょ? テキスト上の文句ではなくて、その人が本当に望む幸せ。 口で言うだけでは駄目で、それを行動に移さないといけない。 最後のシーンで、僕はそれを教えられた気がします。
だからこそ、汚したくはありませんが、あえて言わせてください。 現場はそんなに綺麗じゃありません。 吐き気ほもよおす事を平気で行っています。 だからこそ、だからこそ、えもさんのお話が僕の心に杭を打つ込むように、響くのです。 僕にとって一つのキーポイントとなってくれそうな作品ではるのは確かです。 本当にお疲れさまでしたm(_ _)m そして作品を汚す異様な感想で、ごめんなさい。
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