どうも,ひそかにDさんの日本歴史モノを心待ちにしていた月島です(笑)
まるで自分の意思を持っているかのような犬,太助。 主人公である五郎左とそれといって干渉するわけでもなく,不思議な距離感を保っている。 そこから,自分のあり方を学んで士官を決意する。 …という視点が,とても面白かったです。 タイトルの「犬」は五郎左と,太助両方をかけているのですね。 (万が一違ったらごめんなさい…汗)
平和な時代の,浪人というのもポイントだと思います。 戦乱の時代だったら,つべこべ言っていられ無そうですもんね(汗) 現実でも通じる事なんですけど,物事って考え方1つで結構変わるものなんですよね。 なんとなく,そんな事をこの話を読んで思いました。
サブ的イベントも感慨深かったです。 特に印象的だったのが,五郎左が子供の前で腕を斬って見せちゃう場面。 一般的に見れば,非常識な事なんですけど,そういう人生を歩んできた彼にとっては何てことのない事実。 別に子供を怖がらせようと,わざとやった訳じゃないんですよね。 それがあたりまえだから,平気でやっちゃう。 歴史的説明もそうなんですけど,Dさんの小説は心理描写も見事ですよね。 あやかりたいです。
ボリュームがあって読みごたえ十分な面も健在! そんな中で敢えて,個人的に不満な点を上げれば,途中で僅かに入っている横文字,でしょうか。 「武器を持っている人間にアドバンテージがある」という部分は,「武器を持っている人間の方が有利である」でも支障はないかと。 凄い重厚な雰囲気の中でちょっと勿体無いと思いました。 まあ,これは個人的好みですが…。
執筆ご苦労様でした。 それでは,今後も期待しております。
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